貸倒損失

(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)

9‐6‐3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9‐6‐3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。

(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。

(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき

(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。

(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)

9‐6‐1 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。

(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額

イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの

ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの

(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

(回収不能の金銭債権の貸倒れ)

9‐6‐2 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。

(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する

(売掛金、貸付金に準ずる債権)

11‐2‐16《貸倒引当金》に規定する「その他これらに準ずる金銭債権」には、次のような債権が含まれる。

(1) 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等又は貸付金の未収利子で、益金の額に算入されたもの

(2) 他人のために立替払をした場合の立替金(11‐2‐18の(4)に該当するものを除く。

(3) 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの

(4) 保証債務を履行した場合の求償権

(5) 法第81条の18第1項(連結法人税の個別帰属額の計算)に規定する「法人税の負担額」又は「法人税の減少額」として帰せられる金額に係る未収金(当該法人との間に連結完全支配関係がある連結法人に対して有するものを除く。

(注) 法人がその有する売掛金、貸付金等の債権について取得した先日付小切手を法第52条第2項に規定する金銭債権に含めている場合には、その計算を認める。


(裏書譲渡をした受取手形)

11‐2‐17 法人がその有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(以下この款において「売掛債権等」という。)について取得した受取手形につき裏書譲渡(割引を含む。以下11‐2‐17において同じ。)をした場合には、当該売掛金、貸付金等の既存債権を売掛債権等に該当するものとして取り扱う。したがって、裏書により取得した受取手形(手形法昭和7年法律第20号第18条第1項本文又は第19条第1項本文に規定する裏書により取得したものを除く。)で、その取得の原因が売掛金、貸付金等の既存債権と関係のないものについて更に裏書譲渡をした場合には、その受取手形の金額は売掛債権等の額に含まれないことに留意する。

(注) この取扱いは、その裏書譲渡された受取手形の金額が財務諸表の注記等において確認できる場合に適用する。

役員退職給与損金算入時期

9‐2‐28 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、
株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。ただし、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には、これを認める

退職年金は、当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものであるから、当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても、当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできないことに留意する。

(社会保険料の損金算入の時期)
保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する
事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 健康保険法第155条《保険料》又は厚生年金保険法第81条《保険料》の規定により徴収される保険料
(2) 旧効力厚生年金保険法第138条《掛金》の規定により徴収される掛金(同条第5項《設立事業所の減少に係る掛金の一括徴収》又は第6項《解散時の掛金の一括徴収》の規定により徴収される掛金を除く。)又は同法第140条《徴収金》の規定により徴収される徴収金
(注) 同法第138条第5項又は第6項の規定により徴収される掛金については、納付義務の確定した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

労働保険料の損金算入の時期等)

9‐3‐3 法人が、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条《概算保険料の納付》の規定によって納付する概算保険料の額又は同法第19条《確定保険料》の規定によって納付し、又は充当若しくは還付を受ける確定保険料に係る過不足額の損金算入の時期等については、次による。
(1) 概算保険料概算保険料の額のうち、被保険者が負担すべき部分の金額は立替金等とし、その他の部分の金額は当該概算保険料に係る同法第15条第1項に規定する
申告書を提出した日(同条第3項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する事業年度の損金の額に算入する。
(2) 確定保険料に係る不足額概算保険料の額が確定保険料の額に満たない場合のその不足額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、同法第19条第1項に規定する
申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する事業年度の損金の額に算入する。
ただし、当該事業年度終了の日以前に終了した同法第2条第4項《定義》に規定する保険年度に係る
確定保険料について生じた不足額のうち当該法人が負担すべき部分の金額については、当該申告書の提出前であっても、これを
未払金に計上することができるものとする。
(3) 確定保険料に係る超過額概算保険料の額が確定保険料の額を超える場合のその超える部分の金額のうち当該法人が負担した概算保険料の額に係る部分の金額については、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)の属する事業年度の益金の額に算入する。

原価

確定していない場合には、同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする。この場合において、その確定していない費用が売上原価等となるべき費用かどうかは、当該売上原価等に係る資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に関する契約の内容、当該費用の性質等を勘案して合理的に判断するのであるが、たとえその販売、譲渡又は提供に関連して発生する費用であっても、単なる事後的費用の性格を有するものはこれに含まれないことに留意する。


(請負収益に対応する原価の額)

2‐2‐5 請負による収益に対応する原価の額には、その請負の目的となった物の完成又は役務の履行のために要した材料費、労務費、外注費及び経費の額の合計額のほか、その受注又は引渡しをするために直接要した全ての費用の額が含まれることに留意する。

(注) 建設業を営む法人が建設工事等の受注に当たり前渡金保証会社に対して支払う保証料の額は、前渡金を受領するために要する費用であるから、当該建設工事等に係る工事原価の額に算入しないことができる。


債務の確定の判定)

2‐2‐12 法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。

(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。

(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

当該事業年度前の各事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)においてその収益の額を益金の額に算入した資産の販売又は譲渡、役務の提供その他の取引について当該事業年度において契約の解除又は取消し、返品等の事実が生じた場合でも、これらの事実に基づいて生じた損失の額は、当該事業年度の損金の額に算入するのであるから留意する。

役務売上計上基準

(履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに係る収益の帰属の時期)

2‐1‐21の2 役務の提供(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除き、平成30年3月30日付企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」の適用対象となる取引に限る。以下2‐1‐21の3までにおいて同じ。)のうちその履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの(以下2‐1‐30までにおいて「履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの」という。)については、その履行に着手した日から引渡し等の日(物の引渡しを要する取引にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日をいい、物の引渡しを要しない取引にあってはその約した役務の全部を完了した日をいう。以下2‐1‐21の7までにおいて同じ。)までの期間において履行義務が充足されていくそれぞれの日が法第22条の2第1項《収益の額》に規定する役務の提供の日に該当し、その収益の額は、その履行義務が充足されていくそれぞれの日の属する事業年度の益金の額に算入されることに留意する

(履行義務が一時点で充足されるものに係る収益の帰属の時期)

2‐1‐21の3 役務の提供のうち履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの以外のもの(以下2‐1‐30までにおいて「履行義務が一時点で充足されるもの」という。)については、その引渡し等の日が法第22条の2第1項(収益の額)に規定する役務の提供の日に該当し、その収益の額は、引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入されることに留意する。

(履行義務が一定の期間にわたり充足されるもの)

2‐1‐21の4 次のいずれかを満たすものは履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する。

(1) 取引における義務を履行するにつれて、相手方が便益を享受すること。

(注) 例えば、清掃サービスなどの日常的又は反復的なサービスはこれに該当する。

(2) 取引における義務を履行することにより、資産が生じ、又は資産の価値が増加し、その資産が生じ、又は資産の価値が増加するにつれて、相手方がその資産を支配すること。

(注) 上記の資産を支配することとは、当該資産の使用を指図し、当該資産からの残りの便益のほとんど全てを享受する能力(他の者が当該資産の使用を指図して当該資産から便益を享受することを妨げる能力を含む。)を有することをいう。

(3) 次の要件のいずれも満たすこと。

イ 取引における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること。

ロ 取引における義務の履行を完了した部分について、対価の額を収受する強制力のある権利を有していること

(履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに係る収益の額の算定の通則)

2‐1‐21の5 履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに係るその履行に着手した日の属する事業年度から引渡し等の日の属する事業年度の前事業年度までの各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する収益の額は、別に定めるものを除き、提供する役務につき通常得べき対価の額に相当する金額に当該各事業年度終了の時における履行義務の充足に係る進捗度を乗じて計算した金額から、当該各事業年度前の各事業年度の収益の額とされた金額を控除した金額とする。
(注)

1 本文の取扱いは、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができる場合に限り適用する。

2 履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができない場合においても、当該履行義務を充足する際に発生する原価の額を回収することが見込まれる場合には、当該履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができることとなる時まで、履行義務を充足する際に発生する原価のうち回収することが見込まれる原価の額をもって当該事業年度の収益の額とする。

3 (注)2にかかわらず、履行に着手した後の初期段階において、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができない場合には、その収益の額を益金の額に算入しないことができる。

(履行義務の充足に係る進捗度)

2‐1‐21の6 2‐1‐21の5の「履行義務の充足に係る進捗度」とは、役務の提供に係る原価の額の合計額のうちにその役務の提供のために既に要した原材料費、労務費その他の経費の額の合計額の占める割合その他の履行義務の進捗の度合を示すものとして合理的と認められるものに基づいて計算した割合をいう。
(注)

1 2‐1‐21の4(1)(注)の日常的又は反復的なサービスの場合には、例えば、契約期間の全体のうち、当該事業年度終了の日までに既に経過した期間の占める割合は、履行義務の進捗の度合を示すものとして合理的と認められるものに該当する。

2 本文の既に要した原材料費、労務費その他の経費の額のうちに、履行義務の充足に係る進捗度に寄与しないもの又は比例しないものがある場合には、その金額を進捗度の見積りには反映させないことができる。

(請負に係る収益の帰属の時期)

2‐1‐21の7 請負(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。以下2‐1‐21の7において同じ。)については、別に定めるものを除き、2‐1‐21の2及び2‐1‐21の3にかかわらず、その引渡し等の日が法第22条の2第1項《収益の額》に規定する役務の提供の日に該当し、その収益の額は、原則として引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入されることに留意する。ただし、当該請負が2‐1‐21の4(1)から(3)までのいずれかを満たす場合において、その請負に係る履行義務が充足されていくそれぞれの日の属する事業年度において2‐1‐21の5に準じて算定される額を益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注)

1 例えば、委任事務又は準委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約している場合についても同様とする。

2 2‐1‐1の4の取扱いを適用する場合には、その事業年度において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事代金の額をその事業年度の益金の額に算入する。

(不動産の仲介あっせん報酬の帰属の時期)

2‐1‐21の9 土地、建物等の売買、交換又は賃貸借(以下2‐1‐21の9において「売買等」という。)の仲介又はあっせんをしたことによる報酬の額は、その履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する場合(2‐1‐21の7本文の取扱いを適用する場合を除く。)を除き、原則としてその売買等に係る契約の効力が発生した日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、法人が、売買又は交換の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額について、継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、当該金額についてはその収受した日。以下2‐1‐21の9において同じ。)において収益計上を行っている場合には、当該完了した日は、その役務の提供の日に近接する日に該当するものとして、法第22条の2第2項《収益の額》の規定を適用する。

(技術役務の提供に係る報酬の帰属の時期)

2‐1‐21の10 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供を行ったことにより受ける報酬の額は、その履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する場合(2‐1‐21の7本文の取扱いを適用する場合を除く。)を除き、原則としてその約した役務の全部の提供を完了した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、2‐1‐1の5の取扱いを適用する場合には、その支払を受けるべき報酬の額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その支払を受けることが確定した金額のうち役務の全部の提供が完了する日まで又は1年を超える相当の期間が経過する日まで支払を受けることができないこととされている部分の金額については、その完了する日とその支払を受ける日とのいずれか早い日までその報酬の額を益金の額に算入することを見合わせることができる。

(技術役務の提供に係る報酬の帰属の時期)

2‐1‐21の10 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供を行ったことにより受ける報酬の額は、その履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する場合(2‐1‐21の7本文の取扱いを適用する場合を除く。)を除き、原則としてその約した役務の全部の提供を完了した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、2‐1‐1の5の取扱いを適用する場合には、その支払を受けるべき報酬の額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その支払を受けることが確定した金額のうち役務の全部の提供が完了する日まで又は1年を超える相当の期間が経過する日まで支払を受けることができないこととされている部分の金額については、その完了する日とその支払を受ける日とのいずれか早い日までその報酬の額を益金の額に算入することを見合わせることができる。

(貸付金利子等の帰属の時期)

2‐1‐24 貸付金、預金、貯金又は有価証券(以下2‐1‐24において「貸付金等」という。)から生ずる利子の額は、その利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入する。ただし、主として金融及び保険業を営む法人以外の法人が、その有する貸付金等(当該法人が金融及び保険業を兼業する場合には、当該金融及び保険業に係るものを除く。)から生ずる利子でその支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額につき、継続してその支払期日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
(注)

1 例えば借入金とその運用資産としての貸付金、預金、貯金又は有価証券(法第12条第1項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する受益者同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託以下「受益者等課税信託」という。の信託財産に属するこれらの資産を含む。)がひも付きの見合関係にある場合のように、その借入金に係る支払利子の額と運用資産から生ずる利子の額を対応させて計上すべき場合には、その運用資産から生ずる利子の額については、ただし書の適用はないものとする。

2 資産の販売等に伴い発生する売上債権(受取手形を含む。)又はその他の金銭債権について、その現在価値と当該債権に含まれる金利要素とを区分経理している場合の当該金利要素に相当する部分の金額は、2‐1‐1の8又は2‐1‐1の9の取扱いを適用する場合を除き、当該債権の発生の基となる資産の販売等に係る売上の額等に含まれることに留意する。

(賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期)

2‐1‐29 資産の賃貸借(金融商品平成20年3月10日付企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の適用対象となる資産、負債及びデリバティブ取引をいう。に係る取引及び法第64条の2第3項《リース取引に係る所得の金額の計算》に規定するリース取引に該当するものを除く。以下この章において同じ。)は、履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当し、その収益の額は2‐1‐21の2の事業年度の益金の額に算入する。ただし、資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額(前受けに係る額を除く。)について、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日において収益計上を行っている場合には、その支払を受けるべき日は、その資産の賃貸借に係る役務の提供の日に近接する日に該当するものとして、法第22条の2第2項《収益の額》の規定を適用する。
(注)

1 当該賃貸借契約について係争(使用料等の額の増減に関するものを除く。)があるためその支払を受けるべき使用料等の額が確定せず、当該事業年度においてその支払を受けていないときは、相手方が供託をしたかど支払を受けることとなるまで当該使用料等の額を益金の額に算入することを見合わせることができるものとする。

2 使用料等の額の増減に関して係争がある場合には(注)1の取扱いによらないのであるが、この場合には、契約の内容、相手方が供託をした金額等を勘案してその使用料等の額を合理的に見積もるものとする。

3 収入する金額が期間のみに応じて定まっている資産の賃貸借に係る収益の額の算定に要する2‐1‐21の6の進捗度の見積りに使用されるのに適切な指標は、通常は経過期間となるため、その収益は毎事業年度定額で益金の額に算入されることになる。

(ノウハウの頭金等の帰属の時期)

2‐1‐30の3 ノウハウの設定契約に際して支払(返金が不要な支払を除く。以下2‐1‐30の3において同じ。)を受ける一時金又は頭金に係る収益の額は、2‐1‐21の2及び2‐1‐21の3にかかわらず、当該ノウハウの開示を完了した日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、2‐1‐1の6本文の取扱いを適用する場合には、その開示をした都度これに見合って支払を受けるべき金額をその開示をした日の属する事業年度の益金の額に算入する。
(注)

1 2‐1‐1の6(注)1の取扱いを適用する場合には、その一時金又は頭金の支払を受けるべき金額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する事業年度の益金の額に算入する。

2 2‐1‐1の6(注)2の取扱いを適用する場合には、ノウハウの設定契約の締結に先立って、相手方に契約締結の選択権を付与するために支払を受けるいわゆるオプション料の額については、その支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入する。

売上割戻し

(変動対価)

2‐1‐1の11 資産の販売等に係る契約の対価について、値引き、値増し、割戻しその他の事実(法第22条の2第5項各号《収益の額》に掲げる事実を除く。以下2‐1‐1の11において「値引き等の事実」という。)により変動する可能性がある部分の金額(以下2‐1‐1の11において「変動対価」という。)がある場合(当該値引き等の事実が損金不算入費用等に該当しないものである場合に限る。)において、次に掲げる要件の全てを満たすときは、(2)により算定される変動対価につき同条第1項又は第2項に規定する事業年度(以下2‐1‐1の11において「引渡し等事業年度」という。)の確定した決算において収益の額を減額し、又は増額して経理した金額(引渡し等事業年度の確定申告書に当該収益の額に係る益金算入額を減額し、又は増額させる金額の申告の記載がある場合の当該金額を含み、変動対価に関する不確実性が解消されないものに限る。)は、引渡し等事業年度の引渡し時の価額等の算定に反映するものとする。

(1) 値引き等の事実の内容及び当該値引き等の事実が生ずることにより契約の対価の額から減額若しくは増額をする可能性のある金額又はその金額の算定基準(客観的なものに限る。)が、当該契約若しくは法人の取引慣行若しくは公表した方針等により相手方に明らかにされていること又は当該事業年度終了の日において内部的に決定されていること。

(2) 過去における実績を基礎とする等合理的な方法のうち法人が継続して適用している方法により(1)の減額若しくは増額をする可能性又は算定基準の基礎数値が見積もられ、その見積りに基づき収益の額を減額し、又は増額することとなる変動対価が算定されていること。

(3) (1)を明らかにする書類及び(2)の算定の根拠となる書類が保存されていること。
(注)

1 引渡し等事業年度終了の日後に生じた事情により令第18条の2第3項《収益の額》に規定する収益基礎額が変動した場合において、資産の販売等に係る収益の額につき同条第1項に規定する当初益金算入額に同項に規定する修正の経理(同条第2項においてみなされる場合を含む。以下2‐1‐1の11において「修正の経理」という。)により増加した収益の額を加算し、又は当該当初益金算入額からその修正の経理により減少した収益の額を控除した金額が当該資産の販売等に係る法第22条の2第4項に規定する価額又は対価の額に相当しないときは、令第18条の2第3項の規定の適用によりその変動することが確定した事業年度の収益の額を減額し、又は増額することとなることに留意する。

2 引渡し等事業年度における資産の販売等に係る収益の額につき、その引渡し等事業年度の収益の額として経理していない場合において、その後の事業年度の確定した決算において行う受入れの経理(その後の事業年度の確定申告書における益金算入に関する申告の記載を含む。)は、一般に公正妥当な会計処理の基準に従って行う修正の経理には該当しないことに留意する。

(売上割戻しの計上時期)

2‐1‐1の12 販売した棚卸資産に係る売上割戻しについて2‐1‐1の11の取扱いを適用しない場合には、当該売上割戻しの金額をその通知又は支払をした日の属する事業年度の収益の額から減額する。

(一定期間支払わない売上割戻しの計上時期)

2‐1‐1の13 法人が売上割戻しについて2‐1‐1の11の取扱いを適用しない場合において、当該売上割戻しの金額につき相手方との契約等により特約店契約の解約、災害の発生等特別な事実が生ずる時まで又は5年を超える一定の期間が経過するまで相手方名義の保証金等として預かることとしているため、相手方がその利益の全部又は一部を実質的に享受することができないと認められる場合には、その売上割戻しの金額については、2‐1‐1の12にかかわらず、これを現実に支払った日(その日前に実質的に相手方にその利益を享受させることとした場合には、その享受させることとした日)の属する事業年度の売上割戻しとして取り扱う。

「相手方がその利益の全部又は一部を実質的に享受すること」とは、次に掲げるような事実があることをいう。

(1) 相手方との契約等に基づいてその売上割戻しの金額に通常の金利を付すとともに、その金利相当額については現実に支払っているか、又は相手方からの請求があれば支払うこととしていること。

(2) 相手方との契約等に基づいて保証金等に代えて有価証券その他の財産を提供することができることとしていること。

(3) 保証金等として預かっている金額が売上割戻しの金額のおおむね50%以下であること。

(4) 相手方との契約等に基づいて売上割戻しの金額を相手方名義の預金又は有価証券として保管していること。

(値増金の益金算入の時期)

2‐1‐1の15 法人が請け負った建設工事等に係る工事代金につき資材の値上がり等に応じて一定の値増金を収入することが契約において定められている場合において、2‐1‐1の11の取扱いを適用しないときは、その収入すべき値増金の額については、次の場合の区分に応じ、それぞれ次によることとする。ただし、その建設工事等の引渡しの日後において相手方との協議によりその収入すべき金額が確定する値増金については、
その収入すべき金額が確定した日の属する事業年度の収益の額を増額する。

(1) 当該建設工事等が2‐1‐21の2に規定する履行義務が一定の期間にわたり充足されるものに該当する場合(2‐1‐21の7本文の取扱いを適用する場合を除く。)値増金を収入することが確定した日の属する事業年度以後の2‐1‐21の5による収益の額の算定に反映する。

(2) (1)の場合以外の場合その建設工事等の引渡しの日の属する事業年度の益金の額に算入する。

キャッシュバックのように相手方に対価が支払われることが条件となっている場合(損金不算入費用等に該当しない場合に限る。)には、次に掲げる日のうちいずれか遅い日の属する事業年度においてその対価の額に相当する金額を当該事業年度の収益の額から減額する。

(1) その支払う対価に関連する資産の販売等に係る法第22条の2第1項《収益の額》に規定する日又は同条第2項に規定する近接する日

(2) その対価を支払う日又はその支払を約する日


リース通達

《所有権移転外リース取引》に規定する「これらに準ずるもの」として同号に規定する所有権移転外リース取引(以下この節において「所有権移転外リース取引」という。)に該当しないものとは、例えば、次に掲げるものをいう。
(1) リース期間(法第64条の2第3項《リース取引の範囲》に規定するリース取引以下この節において「リース取引」という。に係る契約において定められたリース資産同条第1項に規定するリース資産をいう。以下この節において同じ。の賃貸借期間をいう。以下この節において同じ。)の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることがリース契約(リース取引に係る契約をいう。以下この節において同じ。)において定められているリース取引(リース契約書上そのことが明示されていないリース取引であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。
(2) 賃貸人に対してそのリース取引に係るリース資産の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人のリース料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているリース取引

耐用年数通達

改定耐用年数が100年を超える場合の減価償却資産の償却限度額は、当該減価償却資産について定められている耐用年数省令別表の耐用年数に応じ、その帳簿価額に耐用年数省令別表第7に定める旧定率法の償却率を乗じて算出した金額に当該事業年度の月数(事業年度の中途で事業の用に供した減価償却資産については、当該事業年度の月数のうち事業の用に供した後の月数)を乗じ、これを12で除して計算した金額による。

従来使用されていた用途から他の用途に転用した場合において、法人が転用した資産の全部について転用した日の属する事業年度開始の日から転用後の耐用年数により償却限度額を計算したときは、これを認める。

(注) 償却方法として定率法を採用している減価償却資産の転用前の耐用年数よりも転用後の耐用年数が短くなった場合において、転用初年度に、転用後の耐用年数による償却限度額が、転用前の耐用年数による償却限度額に満たないときには、転用前の耐用年数により償却限度額を計算することができる

《資本的支出の取得価額の特例》の規定の適用を受けた一の減価償却資産を構成する各追加償却資産のうち従来使用されていた用途から他の用途に転用したものがある場合には、当該転用に係る追加償却資産を一の資産として、転用後の耐用年数により償却限度額を計算することに留意する。この場合において、当該追加償却資産の取得価額は、同項の規定の適用を受けた事業年度開始の時における当該追加償却資産の帳簿価額とし、かつ、当該転用した日の属する事業年度開始の時における当該追加償却資産の帳簿価額は、次の場合に応じ、次による。

(1) 償却費の額が個々の追加償却資産に合理的に配賦されている場合転用した追加償却資産の当該転用した日の属する事業年度開始の時の帳簿価額

(2) 償却費の額が個々の追加償却資産に配賦されていない場合転用した日の属する事業年度開始の時の当該一の減価償却資産の帳簿価額に当該一の減価償却資産の取得価額のうちに当該追加償却資産の同項の規定の適用を受けた事業年度開始の時における帳簿価額の占める割合を乗じて計算した金額

(注) 当該転用が事業年度の中途で行われた場合における当該追加償却資産の償却限度額の計算については、7‐4‐2による。

旧定率法を旧定額法に変更した後の償却限度額の計算の基礎となる耐用年数につき7‐4‐4の(2)のロによっている減価償却資産について資本的支出をした場合(令第55条第2項《資本的支出の取得価額の特例》の規定の適用を受ける場合に限る。)には、その後における当該減価償却資産の償却限度額の計算の基礎となる耐用年数は、次の場合に応じそれぞれ次に定める年数によるものとする。

(1) その資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の50%に相当する金額以下の場合当該減価償却資産につき現に適用している耐用年数

(2) (1)以外の場合 当該減価償却資産について定められている耐用年数

《堅牢な建物等の償却限度額の特例》の規定による償却をしている減価償却資産について資本的支出をし、令第55条第2項《資本的支出の取得価額の特例》の規定を適用した場合には、その後の償却限度額の計算は、次による。

(1) 当該資本的支出の金額を加算した後の帳簿価額が当該資本的支出の金額を加算した後の取得価額の5%相当額以下となるときは、当該帳簿価額を基礎とし、新たにその時から使用不能となると認められる日までの期間を基礎とし適正に見積った月数により計算する。

(2) 当該資本的支出の金額を加算した後の帳簿価額が当該資本的支出の金額を加算した後の取得価額の5%相当額を超えるときは、5%相当額に達するまでは法定耐用年数によりその償却限度額を計算し、5%相当額に達したときは、改めて令第61条の2の規定により税務署長の認定を受け、当該認定を受けた月数により計算することができる。

「償却費として損金経理をした金額」には、法人が償却費の科目をもって経理した金額のほか、損金経理をした次に掲げるような金額も含まれるものとする。

(1) 令第54条第1項《減価償却資産の取得価額》の規定により減価償却資産の取得価額に算入すべき付随費用の額のうち原価外処理をした金額

(2) 減価償却資産について法又は措置法の規定による圧縮限度額を超えてその帳簿価額を減額した場合のその超える部分の金額

(3) 減価償却資産について支出した金額で修繕費として経理した金額のうち令第132条《資本的支出》の規定により損金の額に算入されなかった金額

(4) 無償又は低い価額で取得した減価償却資産につきその取得価額として法人の経理した金額が令第54条第1項の規定による取得価額に満たない場合のその満たない金額

(5) 減価償却資産について計上した除却損又は評価損の金額のうち損金の額に算入されなかった金額

(注) 評価損の金額には、法人が計上した減損損失の金額も含まれることに留意する。

(6) 少額な減価償却資産(おおむね60万円以下)又は耐用年数が3年以下の減価償却資産の取得価額を消耗品費等として損金経理をした場合のその損金経理をした金額

(7) 令第54条第1項の規定によりソフトウエアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として損金経理をした場合のその損金経理をした金額

法人が減価償却資産の取得価額の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理をした場合(7‐5‐1により償却費として損金経理をしたものと認められる場合を除く。)又は贈与により取得した減価償却資産の取得価額の全部を資産に計上しなかった場合において、これらの資産を事業の用に供した事業年度の確定申告書又は修正申告書(更正又は決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書及び修正申告書を除く。)に添付した令第63条《減価償却に関する明細書の添付》に規定する明細書にその計上しなかった金額を記載して申告調整をしているときは、その記載した金額は、償却費として損金経理をした金額に該当するものとして取り扱う。

(注) 贈与により取得した減価償却資産が、令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の規定によりその取得価額の全部を損金の額に算入することができるものである場合には、損金経理をしたものとする。

固定資産取得価額通達

法人が不当に高価で買い入れた固定資産について、その買入価額のうち実質的に贈与をしたものと認められた金額がある場合には、買入価額から当該金額を控除した金額を取得価額とすることに留意する

固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子の額は、たとえ当該固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、これを当該固定資産の取得価額に算入しないことができるものとする。

(注) 借入金の利子の額を建設中の固定資産に係る建設仮勘定に含めたときは、当該利子の額は固定資産の取得価額に算入されたことになる

所得税では個人で事業開始していない場合には取得価額に含める

法人が都道府県又は市町村からその工場誘致等により土地その他の固定資産を取得し、購入の代価のほかに、その取得に関連して都道府県若しくは市町村又はこれらの指定する公共団体等に寄附金又は負担金の名義で金銭を支出した場合においても、その支出した金額が実質的にみてその資産の代価を構成すべきものと認められるときは、その支出した金額はその資産の取得価額に算入する。

次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。

(1) 次に掲げるような租税公課等の額

イ 不動産取得税又は自動車取得税

ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの

ハ 新増設に係る事業所税

ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額

(3) 一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額

(土地についてした防壁、石垣積み等の費用)

7‐3‐4 埋立て、地盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額はその土地の取得価額に算入するのであるが、土地についてした防壁、石垣積み等であっても、その規模、構造等からみて土地と区分して構築物とすることが適当と認められるものの費用の額は、土地の取得価額に算入しないで、構築物の取得価額とすることができる。
 上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても、同様とする。

(注) 専ら建物、構築物等の建設のために行う地質調査、地盤強化、地盛り、特殊な切土等土地の改良のためのものでない工事に要した費用の額は、当該建物、構築物等の取得価額に算入する。

法人が土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した金額は、当該土地、建物等の取得価額に算入する。

法人が建物等の存する土地(借地権を含む。以下7‐3‐6において同じ。)を建物等とともに取得した場合又は自己の有する土地の上に存する借地人の建物等を取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊し費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額がある場合は、当該金額を控除した金額)は、当該土地の取得価額に算入する。

新工場の落成、操業開始等に伴って支出する記念費用等のように減価償却資産の取得後に生ずる付随費用の額は、当該減価償却資産の取得価額に算入しないことができるものとするが、工場、ビル、マンション等の建設に伴って支出する住民対策費、公害補償費等の費用(7‐3‐11の2の(2)及び(3)に該当するものを除く。)の額で当初からその支出が予定されているもの(毎年支出することとなる補償金を除く。)については、たとえその支出が建設後に行われるものであっても、当該減価償却資産の取得価額に算入する

 借地権の取得価額には、土地の賃貸借契約又は転貸借契約(これらの契約の更新及び更改を含む。以下7‐3‐8において「借地契約」という。)に当たり借地権の対価として土地所有者又は借地権者に支払った金額のほか、次に掲げるような金額を含むものとする。ただし、(1)に掲げる金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下の金額であるときは、強いてこれを区分しないで建物等の取得価額に含めることができる。

(1) 土地の上に存する建物等を取得した場合におけるその建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額

(2) 賃借した土地の改良のためにした地盛り、地ならし、埋立て等の整地に要した費用の額

(3) 借地契約に当たり支出した手数料その他の費用の額

(4) 建物等を増改築するに当たりその土地の所有者等に対して支出した費用の額

 借地権の取得価額には、土地の賃貸借契約又は転貸借契約(これらの契約の更新及び更改を含む。以下7‐3‐8において「借地契約」という。)に当たり借地権の対価として土地所有者又は借地権者に支払った金額のほか、次に掲げるような金額を含むものとする。ただし、(1)に掲げる金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下の金額であるときは、強いてこれを区分しないで建物等の取得価額に含めることができる。

(1) 土地の上に存する建物等を取得した場合におけるその建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額

(2) 賃借した土地の改良のためにした地盛り、地ならし、埋立て等の整地に要した費用の額

(3) 借地契約に当たり支出した手数料その他の費用の額

(4) 建物等を増改築するに当たりその土地の所有者等に対して支出した費用の額

法人が地方公共団体等が造成した土地を取得するに当たり土地の購入の代価のほかに7‐3‐11の2に定める負担金等の性質を有する金額でその内容が具体的に明らかにされているものを支出した場合には、7‐3‐11の2に準じて取り扱うことができるものとする。

法人が専らその有する土地の利用のために設置されている私道を地方公共団体に寄附した場合には、当該私道の帳簿価額を当該土地の帳簿価額に振り替えるものとし、その寄附をしたことによる損失はないものとする。

集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のため一の事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合又はガスタンク、鍛圧プレス等多額の据付費を要する機械装置を移設した場合(措置法第65条の2《収用換地等の場合の所得の特別控除》に規定する収用換地等に伴い移設した場合を除く。)には、運賃、据付費等その移設に要した費用(解体費を除く。以下7‐3‐12において「移設費」という。)の額はその機械装置(当該機械装置に係る資本的支出を含む。以下7‐3‐12において同じ。)の取得価額に算入し、当該機械装置の移設直前の帳簿価額のうちに含まれている据付費(以下7‐3‐12において「旧据付費」という。)に相当する金額は、損金の額に算入する。この場合において、その移設費の額の合計額が当該機械装置の移設直前の帳簿価額の10%に相当する金額以下であるときは、旧据付費に相当する金額を損金の額に算入しないで、当該移設費の額をその移設をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

(注) 主として新規の生産設備の導入に伴って行う既存の生産設備の配置換えのためにする移設は、原則として集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のための移設には当たらない。

法人が他から出願権(工業所有権に関し特許又は登録を受ける権利をいう。)を取得した場合のその取得の対価については、無形固定資産に準じて当該出願権の目的たる工業所有権の耐用年数により償却することができるが、その出願により工業所有権の登録があったときは、当該出願権の未償却残額(工業所有権を取得するために要した費用があるときは、その費用の額を加算した金額)に相当する金額を当該工業所有権の取得価額とする

自己の製作に係るソフトウエアの取得価額については、令第54条第1項第2号の規定に基づき、当該ソフトウエアの製作のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びに当該ソフトウエアを事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額となることに留意する。
 この場合、その取得価額については適正な原価計算に基づき算定することとなるものであるが、法人が、原価の集計、配賦等につき、合理的であると認められる方法により継続して計算している場合には、これを認めるものとする。

(注) 他の者から購入したソフトウエアについて、そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、当該ソフトウエアの取得価額に算入することに留意する。

次に掲げるような費用の額は、ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる。

(1) 自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額

(2) 研究開発費の額(自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかなものに限る。

(3) 製作等のために要した間接費、付随費用等で、その費用の額の合計額が少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるもの

法人のした資本的支出につき、令第55条第2項、第4項又は第5項《資本的支出の取得価額の特例》の規定を適用し、取得価額及び償却限度額の計算をした場合には、その後において、7‐4‐2の2《転用した追加償却資産に係る償却限度額等》による場合などを除き、これらの資本的支出を分離して別々に償却することはできないことに留意する。

電話加入権の取得価額には、電気通信事業者との加入電話契約に基づいて支出する工事負担金のほか、屋内配線工事に要した費用等電話機を設置するために支出する費用(当該費用の支出の目的となった資産を自己の所有とする場合のその設置のために支出するものを除く。)が含まれることに留意する

法人の有する固定資産について値引き、割戻し又は割引(以下7‐3‐17の2において「値引き等」という。)があった場合には、その値引き等のあった日の属する事業年度の確定した決算において次の算式により計算した金額の範囲内で当該固定資産の帳簿価額を減額することができるものとする。
(算式)

値引き等の額×

値引き等の直前における当該固定資産の帳簿価額

値引き等の直前における当該固定資産の取得価額

(注)

1 当該固定資産が法又は措置法の規定による圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、算式の分母及び分子の金額はその圧縮記帳後の金額によることに留意する。

2 当該固定資産についてその値引き等のあった日の属する事業年度の直前の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)から繰り越された特別償却不足額(特別償却準備金の積立不足額を含む。以下7‐3‐17の2において同じ。)があるときは、当該特別償却不足額の生じた事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)においてその値引き等があったものとした場合に計算される特別償却限度額を基礎として当該繰越された特別償却不足額を修正するものとする


減価償却費通達

、次に掲げる美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」と取り扱う。

(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの

(2) (1)以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの
時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。

(注)1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用
有料で公開するものを除く。)として法人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。

2 取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く。)は減価償却資産と取り扱う。

 ガラス繊維製造用の白金製溶解炉、光学ガラス製造用の白金製るつぼ、か性カリ製造用の銀製なべのように、
素材となる貴金属の価額が取得価額の大部分を占め、かつ、一定期間使用後は素材に還元のうえ鋳直して再使用することを常態としているものは、
減価償却資産には該当しない。
この場合において、これらの資産の鋳直しに要する費用(地金の補給のために要する費用を含む。)の額は、その鋳直しをした日の属する事業年度の損金の額に算入する。

(注) 白金ノズルは減価償却資産に該当するのであるが、これに類する工具で貴金属を主体とするものについても、白金ノズルに準じて減価償却をすることができるものとする

建設仮勘定として表示されている場合であっても、その完成した部分が事業の用に供されているときは、その部分は減価償却資産に該当するものとする。

航空機の予備エンジン、電気自動車の予備バッテリー等のように減価償却資産を事業の用に供するために必要不可欠なものとして常備され、繰り返して使用される専用の部品(通常他に転用できないものに限る。)は、当該減価償却資産と一体のものとして減価償却をすることができる

法人が他の者の有する工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権をいう。以下同じ。)について実施権又は使用権を取得した場合におけるその取得のために要した金額については、当該工業所有権に準じて取り扱う。この場合において、その実施権又は使用権のその取得後における存続期間が当該工業所有権の耐用年数に満たないときは、当該存続期間の年数(1年未満の端数は切り捨てる。)をその耐用年数とすることができる

織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のいわゆるナンバー権のように法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当等の権利を取得するために支出する費用は、営業権に該当するものとする。

(注) 例えば当該権利に係る事業を廃止する者に対して残存業者が負担する補償金のように当該権利の維持又は保全のために支出する費用についても、営業権として減価償却をすることができる

無形減価償却資産のうち、漁業権及び工業所有権については、その存続期間の経過により償却すべきものであるから、その取得の日から事業の用に供したものとして取り扱う。

公共下水道を使用する排水設備を新設し、又は拡張する場合において、公共下水道管理者に対してその新設又は拡張により必要となる公共下水道の改築に要する費用を負担するときは、その負担金の額については、水道施設利用権に準じて取り扱う

法人が、特定の研究開発にのみ使用するため取得又は製作をしたソフトウエア(研究開発のためのいわば材料となるものであることが明らかなものを除く。)であっても、当該ソフトウエアは減価償却資産に該当することに留意する。

電気通信施設利用権とは、電気通信事業法施行規則第2条第2項第1号から第3号まで《用語》に規定する電気通信役務の提供を受ける権利のうち電話加入権(加入電話契約に基づき加入電話の提供を受ける権利をいう。)及びこれに準ずる権利を除く全ての権利をいうのであるから、例えば「電信役務」、「専用役務」、「データ通信役務」、「デジタルデータ伝送役務」、「無線呼出し役務」等の提供を受ける権利は、これに該当する。

社歌、コマーシャルソング等の制作のために要した費用の額は、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができる

取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。

使用可能期間が1年未満である減価償却資産とは、法人の属する業種(例えば、紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)において種類等を同じくする減価償却資産の使用状況、補充状況等を勘案して一般的に消耗性のものとして認識されている減価償却資産で、その法人の平均的な使用状況、補充状況等からみてその使用可能期間が1年未満であるものをいう。この場合において、種類等を同じくする減価償却資産のうちに、材質、型式、性能等が著しく異なるため、その使用状況、補充状況等も著しく異なるものがあるときは、当該材質、型式、性能等の異なるものごとに判定することができる。

(注) 平均的な使用状況、補充状況等は、おおむね過去3年間の平均値を基準として判定する

一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を事業の用に供した事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)後の各事業年度においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、当該各事業年度においてその一括償却資産につき損金の額に算入される金額は、同項の規定に従い計算される損金算入限度額に達するまでの金額となることに留意する。

(注) 一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても、同様とする。

一の建物が部分的にその用途を異にしている場合において、その用途を異にする部分がそれぞれ相当の規模のものであり、かつ、その用途の別に応じて償却することが合理的であると認められる事情があるときは、当該建物につきそれぞれその用途を異にする部分ごとに異なる償却の方法を選定することができるものとする

旧定率法を採用している建物、建物附属設備及び構築物に資本的支出をした場合において、当該資本的支出につき、令第55条第2項《資本的支出の取得価額の特例》の規定を適用せずに、同条第1項の規定を適用するときには、当該資本的支出に係る償却方法は、次に掲げる資本的支出の区分に応じ、それぞれ次に定める方法によることに留意する。

(1) 令第48条第1項第3号に規定する鉱業用減価償却資産に該当しない建物、建物附属設備及び構築物にした資本的支出 令第48条の2第1項第1号イ(1)《減価償却資産の償却の方法》に規定する定額法

(2) (1)以外のもの 同号イ(1)に規定する定額法又は同項第3号イ(2)に規定する生産高比例法(これらの償却の方法に代えて納税地の所轄税務署長の承認を受けた特別な償却の方法を含む。)のうち選定している方法

減価償却資産の償却の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、法人が現によっている償却の方法を変更するために令第52条第2項《減価償却資産の償却の方法の変更手続》の規定に基づいてその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている償却の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更が合併や分割に伴うものである等その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。

(注) その変更承認申請書の提出がその現によっている償却の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができる。

保険差益2

 保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)

第四十七条 内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度においてその有する固定資産(当該内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人第八項において「合併法人等」という。とする適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配以下この項及び第八項において「適格組織再編成」という。が行われている場合には、当該適格組織再編成に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人第八項において「被合併法人等」という。の有していたものを含む。以下この条において「所有固定資産」という。)の滅失又は損壊により保険金、共済金又は損害賠償金で政令で定めるもの(以下第四十九条までにおいて「保険金等」という。)の支払を受け、当該事業年度においてその保険金等をもつてその滅失をした所有固定資産に代替する同一種類の固定資産(以下この条において「代替資産」という。)の取得(第六十四条の二第三項リース取引に係る所得の金額の計算に規定するリース取引のうち所有権が移転しないものとして政令で定めるものによる取得を除く。以下この項及び第五項において同じ。)をし、又はその損壊をした所有固定資産若しくは代替資産となるべき資産の改良をした場合において、これらの固定資産につき、その取得又は改良に充てた保険金等に係る差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

2 内国法人が、各事業年度において所有固定資産の滅失又は損壊による保険金等の支払に代わるべきものとして代替資産の交付を受けた場合において、その代替資産につき、その代替資産に係る差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

3 前二項の規定は、確定申告書にこれらの規定に規定する減額し又は経理した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。

4 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項又は第二項の規定を適用することができる。

5 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この条において「適格分割等」という。)により固定資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に、所有固定資産の滅失若しくは損壊により保険金等の支払を受け、かつ、当該保険金等をもつて取得をした代替資産又は当該期間内に、当該滅失若しくは損壊により保険金等の支払を受け、かつ、当該保険金等をもつて改良をした損壊した所有固定資産若しくは代替資産となるべき資産に限る。以下この項において同じ。)を分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(次項において「分割承継法人等」という。)に移転する場合において、当該固定資産につき、第一項に規定する圧縮限度額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

6 内国法人が、適格分割等により代替資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に所有固定資産の滅失又は損壊による保険金等の支払に代わるべきものとして交付を受けたものに限る。以下この項において同じ。)を分割承継法人等に移転する場合において、当該代替資産につき、第二項に規定する圧縮限度額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

7 前二項の規定は、これらの規定に規定する内国法人が適格分割等の日以後二月以内にこれらの規定に規定する減額した金額に相当する金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。

8 合併法人等が適格組織再編成により被合併法人等において第一項、第二項、第五項又は第六項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合における当該固定資産の取得価額その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(保険金等の範囲)

第八十四条 法第四十七条第一項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する政令で定めるものは、保険金若しくは共済金(保険業法第二条第二項定義に規定する保険会社、同条第六項に規定する外国保険業者若しくは同条第十八項に規定する少額短期保険業者が支払う保険金又は次に掲げる法人が行う共済で固定資産について生じた損害を共済事故とするものに係る共済金に限る。)又は損害賠償金で、法第四十七条第一項に規定する滅失又は損壊のあつた日から三年以内に支払の確定したものとする。

一 農業協同組合法第十条第一項第十号(共済に関する施設)に掲げる事業を行う農業協同組合及び農業協同組合連合会

二 農業共済組合及び農業共済組合連合会

三 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十一号(組合員の共済に関する事業)に掲げる事業を行う漁業協同組合及び同法第九十三条第一項第六号の二(組合員の共済に関する事業)に掲げる事業を行う水産加工業協同組合並びに共済水産業協同組合連合会

四 事業協同組合及び事業協同小組合(中小企業等協同組合法昭和二十四年法律第百八十一号第九条の二第七項事業協同組合及び事業協同小組合に規定する特定共済組合に限る。)並びに協同組合連合会(同法第九条の九第一項第三号協同組合連合会の事業を行う協同組合連合会及び同条第四項に規定する特定共済組合連合会に限る。

五 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和三十二年法律第百六十四号)第八条第一項第十号(共済事業)に掲げる事業を行う生活衛生同業組合及び同法第五十四条第八号又は第九号(共済事業)に掲げる事業を行う生活衛生同業組合連合会

六 漁業共済組合及び漁業共済組合連合会

七 森林組合法(昭和五十三年法律第三十六号)第百一条第一項第十三号(共済に関する事業)に掲げる事業を行う森林組合連合会

 

 

(保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額)

第八十五条 法第四十七条第一項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項の内国法人が支払を受ける同項に規定する保険金等(以下この条において「保険金等」という。)に係る保険差益金の額に、第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額とする。

一 その保険金等の額からその保険金等に係る法第四十七条第一項に規定する所有固定資産の滅失又は損壊により支出する経費の額(当該所有固定資産が同項に規定する適格組織再編成当該内国法人が同項に規定する合併法人等となるものに限る。に係る同項に規定する被合併法人等の有していたものである場合次項において「被合併法人等所有資産である場合」という。には、当該被合併法人等が支出した当該経費の額を含むものとし、保険金等の支払を受けるとともに同条第一項に規定する代替資産の交付を受ける場合には、当該支出する経費の額のうちその保険金等の額に対応する部分の金額とする。)を控除した金額

二 法第四十七条第一項に規定する固定資産の取得又は改良に充てた保険金等の額のうち、前号に掲げる金額(同号の保険金等の一部を既に固定資産の取得又は改良に充てている場合には、当該取得又は改良に要した金額を控除した金額)に達するまでの金額

2 前項に規定する保険差益金の額とは、同項第一号に掲げる金額がその滅失又は損壊をした同号に規定する所有固定資産の被害直前の帳簿価額(当該所有固定資産が被合併法人等所有資産である場合には、同号に規定する被合併法人等における当該所有固定資産の当該直前の帳簿価額)のうち被害部分に相当する金額(保険金等の支払を受けるとともに同号に規定する代替資産の交付を受ける場合には、当該金額のうちその保険金等の額に対応する部分の金額)を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。

 

(所有権が移転しないリース取引の範囲)

第八十四条の二 法第四十七条第一項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する政令で定めるリース取引は、第四十八条の二第五項第五号(減価償却資産の償却の方法)に規定する所有権移転外リース取引とする。

 

(保険金等で取得した固定資産等についての圧縮記帳に代わる経理方法)

第八十六条 法第四十七条第一項及び第二項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)、第四十八条第一項(保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入)並びに第四十九条第一項(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する政令で定める方法は、これらの規定に規定する決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法とする。